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18きっぷでぶらぶらしたり酒を飲んでいます。恥を書いて昇華する。

静岡 芹沢銈介に導かれて(前)

以前静岡へ行った帰りの電車内、町でもらった観光ガイドを見ると気になる施設があった。


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2016年夏の思い出(沼津 三島 興津)


それは芹沢銈介という人の美術館で、さほど絵に関心がない自分を引き付けた。調べると、人間国宝の染色工芸家で、1984年に亡くなっている。静岡県の生まれだが、我が住まい、東京蒲田でも暮らしていたらしい。また、静岡の他に宮城県にも美術館があり、そこは我が出身地だ。もうシンパシーしかない
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まず帰省がてらに行ってみるべ



宮城の芹沢銈介美術工芸館は、東北福祉大学の構内にある。建物3フロアにわたって自身の作品とコレクションと、宮城県の陶磁器が展示されていた
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入り口にオセロの台がある



観光ガイドの紙面でときめいた芹沢作品を目の前にし、やはり好きだと確信した。作品の形は様々で、民芸調の作風は温もりあるが、デザインはモードとも捉えられる。ある評論家はグラフィックと称していた。


美術館工芸館サイトから作品を見ることができる
https://www.tfu.ac.jp/kogeikan/art/introduction/index.html
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かわいくてかっこいいってこと




それで次の機会に、静岡の美術館へ行くことにした。静岡市立芹沢銈介美術館は登呂遺跡公園内にある
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ここが登呂か~



登呂は地名なので、この辺りを歩くと文字がホイホイ目に飛び込んでくるが、自分にとっては圧倒的遺跡。登呂マンション・旅館登呂・登呂集会所……中にいるのは弥生人、と彷彿せざるを得ない
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こういう人がきっと



着いた。公園の縦穴式住居に隣接するモダン建築
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(背後)


建物について美術館HPより:建築家白井晟一(1905~1983)の設計による建物も訪れる人々の注目する所です。弥生時代の遺跡として名高い登呂公園の一隅に位置し、その遺跡の雰囲気に自然に融け込むように、石、木、水という天然素材を選んで構成されたこの建物は、白井晟一の個性が遺憾なく発揮された代表作です。石を積み上げた量感ある外壁。ゆるやかな銅板葺きの屋根。そして手斧の跡も温かい白木の楢材の組天井を持つ展示室が池を巡るように配されて、鑑賞の場にふさわしい、ゆったりとした空間を演出しています。
http://www.seribi.jp/facilities.html


なんとも素敵な佇まい。だがしかしある逸話を耳にしたのだ。
《芹沢氏はこの建築を気に入らなかった》と…!
自身のアトリエのような農風を望んだのだろうか
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蒲田から美術館に移築された「芹沢銈介の家」。元は宮城県にあった民家らしい。



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入ります



自分が行った日は蒲田の家公開日でなかったのが残念。その時期の企画展としては、「パリのセリザワ」が開催されていた。昔パリで開かれた個展の再現である
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パンフレット



民芸運動に参加していた芹沢氏。東北の農具や沖縄の紅型の影響を受けたそうで、題材がめちゃいなか!なのに作品はクール。パリっ子も納得したことだろう。



HPより:「Serizawa」展は、パリのフランス国立グラン・パレで開催されたのは1976年のことです。グラン・パレは、ピカソなどの世界的な巨匠たちの大規模な企画展が行われるギャラリーとして著名ですが、「Serizawa」展は、画家バルテュスと美術評論家ジャン・レマリーの熱心な推薦のもとに実現しました。日本人としては初で、まだ存命中の作家がとりあげられることも異例でした。



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これは銀座駅にあるお菓子屋の看板だが、芹沢デザインが“2003年ロンドンインターナショナルアワーズの菓子・スナックパッケージ部門で最高賞を受賞” している。
http://www.ginza-akebono.co.jp/about/japan.html
現代でも最高ってこと。



自分は芹沢氏の、牧歌的何学模様が好きだ。幾何学の、のれんや着物がいっぱいの館内、棚には装丁した本がずらり。テーマパークのようだ。もう何年も行っていないが、ディズニーのミッキーの家ってこんな感覚じゃなかったっけ?見たことないけどハリーポッターの家ってこういうのか?




美術館にて優雅と癒しの時を過ごし、静岡駅に戻る道に、ふと惹かれる看板があった
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「呑み処ひよこ」



感じる、何か感じる…!と感じながらまだ明るい時間であるし、次の町に向かった。


続く