18きっぷでまたおでん食べ歩きなどをした帰りに台風にあい、足止めとなった駅のホームで酒を飲んでいたら、青年と話すことになった
国府津駅。きちんと並び電車を待つ人々から離れたホームのベンチで自分は飲み、背中合わせの彼は弁当を食べていた
何か声をかけられて話し始めたが覚えていない。それは何気ない言葉だったためか浮かれたせいか。大雨、知らぬ町、トラブル、《これは吊り橋効果のシチュエーションだ!》と中年の自分は舞い上がってしまった
「まるしま(静岡)」
※挿絵がないためおでんを載せる
年齢は20代中頃だろうか。互いに東京から愛知県へ18きっぷで出かけた帰りとわかり、旅の話をした
「神尾きんつば(用宗)」
青年の話が素敵だった。〝きのう家系図を見て愛知に親戚がいることがわかったから今日行ってみた〟と言うのだ。何という冒険家だ
「八幡屋(亀島)」
家系図を見せてくれて、〇〇右衛門が…などと語る姿が輝いて見えた。これぞ正しき18きっぷの使い方ではないか。JRにも教えたい
「のんき屋(亀島)」
方や自分は台風の都合で飲み屋に寄れず悔しいと話し、呑兵衛まる出しであった。遅れていた電車は思ったより早く到着と発車し、我々は横浜駅で滞りなく別れた
「大井神社売店(島田)」
思えば「行き」の電車も嵐のように過ごしていた。川崎くらいから腹痛を起こし、沼津で用をたすまでヒヤヒヤであった。沼津乗換で急ぐ連絡通路の群れから自分は手洗いへ走った
用宗で生しらすも食べた
おでんときんつばとしらすを食べた用宗では、道に迷っていたら見かねた人が声をかけてくれて、しかし教わった場所は何度も通り過ぎていた道と思えぬ藪だった
そこをまっすぐと言われた
巨大な虫が飛ぶ藪。覚悟を決めて半目で飛び込み、ざらざらと草木を感じたのは一瞬だった。5秒で公道に出ることができた。ワープだ
危ない橋といえよう
本来は「じゅん」を経由するはずだった。ワープ体験をした用宗はこの夏、心に残る場所となった。
【ここからオリベストリートの話】
今回は大曽根に宿泊したので、アクセスしやすい多治見のオリベストリートへ行ってみた
「大安(大曽根)」
名古屋市大曽根駅から岐阜県多治見駅までは電車で30分足らずの距離だが、岐阜県に入ると急に景色が変わり驚いた
急に渓谷。今さっきまで住宅街だったのに
壁画が渋谷駅みたい
〝陶器のまち多治見〟は改札を出てからながせ商店街を経由してオリベストリートに至るまで芸術的だった
前日にあいちトリエンナーレの一環である音楽ライブへ行き、展示は見ていないのだがオリベストリートでそんな気が満たされた
あいち
オリベ
オリベ
オリベストリートで多治見名物の焼きそばを食べようと喫茶店に入ったが、注文時に「たじみそ焼きそば」でないとわかり、謝って店を出た。店頭のメニュー看板で焼きそばをアピールしているように見えたのでたじみそだと思ったのだ
拡大
しかし何も注文しないのは大人気なかったと反省している。失礼な奴(自分)が来たり犬にシッコされたり気の毒な店だ
いっぱい書いてあった
肉屋で伺ったところ、地元ではふつうのソース焼きそばのほうがよく食べられるのではないか、ということだった。喫茶店の老夫婦自慢のソース味だったのかもしれない
結局多治見ではコロッケと甘味を食べ、やまきやの麩まんじゅうがとくに美味しかった
オリベを歩いていると、緑色が入る光景が織部焼きの模様に見える麻痺が起こった。全てがアートに見えてラッキー
この晩が台風だったので早めに帰路に就いた
いい旅だった