静岡 芹沢銈介に導かれて(後)

芹沢銈介美術館へ行った後に見た居酒屋看板に惹かれたが、営業時間前だったので別の目的を果たしてきた
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袋井のたまごふわふわ



夜本番。その居酒屋は静岡駅繁華街の外れにあり、気軽に行ってみるには少し遠い。そこでクチコミサイトを確認してみたが1件しか投稿なく、詳しい価格が不明で心配。しかし旅先でせっかく出会った店だ、大事にしたい。もう一度向かってみた
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ひよこ。 やはり語呂と字体と、いい



営業時間になってもメニューなどの看板は外になく、店内の様子は見えない。ビルの細い通路を進むと、ひよこの入り口が見えた。ドアにのれんがかかっている。


これは!
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芹沢さんの!
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人間国宝芹沢銈介のれんに「ひよこさんへ」と書かれてある。どういうことだ。静岡だからと言って、どの店も芹沢のれんを掲げるわけではあるまい
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今日のチケットのやつだ



つのる不安。ふだん、センベロ以下の飲み方をしている自分が入れる店だろうか?(いや無理だ!)しかし芹沢美術館後に入る店として最高じゃないか。



ドアを開けた。スナック風のカウンター7席くらいが、だいたいうまっている。常連らしき年配の方々とママの視線を一斉に浴びた。“この娘は何をしに来たんだ” という心の声が聞こえたが、そんなものは居酒屋巡りをしていればよくあることで、問題はオカネである。なんと店内にも価格表示がない。


“自分は旅行者で、出発時間が迫っていることを理由に1杯だけ飲ませて欲しい” 旨をママに告げた。初めから1杯と宣言したのだ。酎ハイと黒はんぺんフライを注文し、料理を待つ。お通しは無いようだ。


どこから来たのかわからない娘にみんな気遣い、話してくれた。ママは通称「きみちゃん」。自分がのれんを見て入って来たことを話すと、一気に打ち解けた。のれんはお客さんからの贈り物らしい。


自己紹介などをしていると黒はんぺんフライが出来上がった。フライは2枚。サラダプレートとして出てきた
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センベロ店の場合は小皿にフライ一枚と申し訳程度のキャベツが付くのが普通だろう


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「フライには、○○ソースか○○ソースをかけて、サラダの中のそれはプチヴェールで美味しいよ」等々


皿の上はレストランだ。カウンターにずらりと並ぶソース・ドレッシング類にもこだわりが表れている。地元メーカーのものや、お客さんのお土産という地方の薬味はどれも使ってみたいと、わくわくした
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ソースの内キャップを半分閉じたままにしているのは、出しすぎを防いでお客さんの健康を気遣っているとのこと



サラダもフライも美味しかった。常連さんがきみちゃんの料理は何でも美味しいと教えてくれた。

カウンターに大皿が並んでいる。そのぴかぴかの葉物は何ですかと聞くと、ほうれん草だった。きみちゃんはほうれん草を輝かせることができる。



長く居たいと思ったが、一杯一品を食べきり会計の時を向かえた。金額は未だ聞けずにいた。


会計はーーーー





800円 也 。


これを芹沢の奇跡と呼びたい。


味をしめた自分は翌月にまた行き、伺ったところ、飲み物500円、料理300円だそうだ (その日時点)。



しかし金額に関わらず、ひよこの面白さを知っていく。前回の帰り際に「つぎは夏に来ます」と言ってきた。今、夏。芹沢美術館の展示も変わったところだ。これまで友もゆかりもない静岡だったが、毎シーズン訪れるところとなった。
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今度の企画展は、のれん