きっぷ2000円 酒300円

18きっぷでぶらぶらしたり酒を飲んでいます。恥を書いて昇華する。

安城、願いごとの聖地

 

名古屋、円頓寺の七夕祭りを見た翌日、抹茶の里である西尾に行きたかったが、自分の持っている18きっぷでは行けない電車のところだった

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円頓寺のゲストハウス西アサヒに泊まっていた

 

西尾へはJR安城駅から名鉄に乗らなければいけないし、東京までの帰り道から離れてしまう。悩みながらも名鉄の乗り換え駅、安城で降りてみると、改札を抜けたところに町の特産ディスプレイがあった

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いろいろ詰まっている

 

ガラスの中には、南吉・麺・卵・ハム・刃物・コタツ他、様々飾られていた。駅の外には観光案内所があるらしい。ということは案内すべきモノが沢山あるのか。自分は安城を全く知らなかった
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駅を出た

 

案内所は、コワーキングスペース併設の最新施設だった。フロアは七夕飾りでいっぱい。時期だからと思ったが資料を見ると、日本三大七夕祭りのうちの町だったらしい。その上安城は三大の横並びから抜き出るため、願いごとに関することは何でも1番を目指す、「願いごと日本一」を掲げたそうだ。なんと先鋭的な 

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まつりサイトより

http://www.anjo-tanabata.jp/midokoro/screen/

 

ご当地キャラは「願いごとの精 きーぼー」。ぼんやり感満載だが、日本一という野心を秘めている
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こいつぼんやりしてるなーと思ってたら豪雨起きた。精のお怒りか 

 

安城にはもっとおもしろいことがある予感がしたので、今回は西尾でなくこちらを散策することに決めた。そこで地元を知るには博物館が良いと思い案内のスタッフに聞くと、徒歩30分くらいかかるから、レンタサイクルを薦められた
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安城にはレンタルの超小型自動車もある

http://www.kiimobi.jp

 

町をゆっくり見たいため、歩いて向かうことにした

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メルヘンが待っていそう

 

ほどなくして壁に詩とイラストが描かれたうどん屋が現れ、駅のディスプレイにあった〝南吉〟の名が添えられている。詩人だろうか。自分はまだ南吉を知らなかった
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うどんの文字もかっこいい

 

この後も町にはイラストがたくさん見られた

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昔ながらの商店街、色褪せた外壁が多い中に鮮やかなペイントが映える

 

商店街の数メートルごとに写真を撮りたくなる景色があった

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可憐なメガネ屋看板

 

南吉に関わらずとも外壁がかわいい
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仲良い夫婦が営むと思われるそうざい屋
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そうざい屋入口。これはご主人か


鶏屋
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人形屋の三河万歳という人形
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サルビアスタンプとは
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買物をしたらスタンプがもらえた(家の冷蔵庫に貼った)

 

駐車場のトラックからくまが覗いていたf:id:sinomiy:20170915161348j:image

あざとさ半端ない

 

トラックにはチェンソーアートとMUKAIの広告が。調べると「クレイジーモーターワークスムカイ」は奈良の車屋のようだ。くまは、チェンソーアートの宣伝だろうか…と今、東京の自宅で考えていると、木彫りのきーぼーの写真の解説に、チェーンソーの文字がうつっていることに気が付いた。何か名物なのか?

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希望のきーぼーだよ

 

チェンソーはそういえば駅のディスプレイにあったではないか。調べると、安城には世界的チェーンソーメーカー・マキタがあった

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世界的PRかもしれないくまを、あざとい言ってごめん

 
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続く

 

【追記】

愛知県東栄町は日本チェンソーアート発祥の地で、毎年大会が開かれている。ひょんなことから、大会参加者の早川さんという方がトラックの持ち主であり、くま制作者だと知った
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東京の物産イベントに来ていた東栄町の方から話を聞いた
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早川さん、応援しています

 

わさび漬けと試食と私

三島駅前のわさび漬け屋に入ってみたら、試食がいっぱいあって楽しかった。アホな書き出しだけど

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朝9時から万全の用意(試食が)

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鈴廣のかまぼこや、他メーカーのお菓子もある。三島コロッケのイートインが可能。

 

ここでわさび漬けを好きになって、特にイカ入りが好きすぎて、レンタサイクルで三島カメヤを巡ることにした。カメヤ愛をどこかにぶつけたかった
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情熱は走るものかな。勢いあまって静岡の名物ハンバーグレストラン「さわやか」も行った。

 

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カメヤ本店は工場に隣接していた。他社の商品を扱う駅前の店とは変わってわさび漬けに特化している。シットリ落ち着いた雰囲気は老舗の風格。

 
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ホームページより本店の写真。サイトには各店の女将が登場している。

http://kameya-foods.co.jp

次は柿田川店へ。

 
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途中におわした馬頭観音。肉付きがいい。

 

柿田川店は広い駐車場があり、店が点在する複合施設。中でも豆腐館の、富士山の湧水を使った豆腐をうりにしている
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川へレジャーに来た人が寄る感じ。車だと駅から12分らしい。

 

わさび漬け販売店の前にはパラソルが立ち、駅前と本店とも違う様子。試食はレジャー客向けか、ダイニングテーブルに用意されている
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全てセルフサービス。窓の外は木漏れ日。

 

こちらではわさび漬けでなくお菓子を買った。駅前カメヤで試食して美味しかったが、容量が多く(9個)買うのをためらっていたのだ。柿田川店は少量(5個)の取り扱いがあった、というのは書くほどのことじゃないけど、自転車で来てよかった
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菓子舗、間瀬の逢初。レジのお姉さんが“伊豆で人気のお菓子”と教えてくれた。

 

カメヤを3店巡ってみたら三島地域内でも違いが見えた。他に沼津、伊豆、御殿場にも店舗があるのでそちらも気になる。

 

わさび漬けづいた自分は次に、同じく静岡県の大手わさび漬けメーカー田丸屋を訪れることにした。電車で移動する
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ご当地感ある三島駅蕎麦屋。三島コロッケそばと名古屋きしめんもある。茶そばは掛川か西尾か

 

 

安倍川駅から歩いて田丸屋へ
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 途中にひなび具合が良い「亜胡」というスナックを通り、しばらく進むと進化した亜胡Ⅱがあった。ランドリーとは意外。

 

30分ほど歩いて、着いた
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アッ、わさびだ(裏口)

 

この日は感謝祭という催しが開かれていた
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裏口から入った

 

感謝祭では限定わさび漬けの販売、わさび漬け作り体験などが行われている。店の外には屋台が広がっていた
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終わり頃の時間に着いたら、フリマの服が「すててもいいからもらって帰って~」とさばかれていた。

 

祭りの催しは終わっていたが工場見学することができた。こちらの田丸屋ステップイン店は「見る工場」を唱っている
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ホームページに“見学無料です!!時間は5分程度。ショッピングを合わせて30分程度”とある。鈍行列車と徒歩を駆使する自分にちょうどいい。

 

 店内
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漬物がメインのカメヤと比べると、田丸屋は商品のバリエーションが幅広い。海産加工品からスナック菓子、ケーキまで自社製品

http://www.tamaruya.co.jp/item.html
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また、試食が多くて嬉しかった。この日は根わさびを祭り価格で購入し、自宅ですりたてのわさびごはんを堪能したが、写真のあらびきわさびチューブを使ったごはんもいいなと思った

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ごちそうさまでした。

 

ところで旅行新聞新社が毎年発表している「プロが選ぶ観光・食事施設、土産物施設100選」がある。http://www.ryoko-net.co.jp/?page_id=151

この中のいくつかを訪れたことがあるが、試食が多いように感じた
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 浅間酒造観光センターは行かねばなるまい。

 

自分は食いしんぼうが酷いので一般客とは多少ずれがあるが、皆さんは信頼と安心の上で、試食を口にするのだ。店もまた、自信をもっての提供。試食に活気=入選の可能性だ。カメヤと田丸屋も近々入るのではないか。(過去の入選歴未確認です)

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静岡辺りだと、由比の桜えび館も良かった。だしと節を存分に飲み食べ比べた。

 


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これは那珂湊おさかな市場。お支払いするから全種類食べさせてほしい

 


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2017年現在、観光食事施設部門3位の「ザ・フィッシュ」。こちらでは菓子コーナー試食のえびせんに塩辛類をのせると食べやすい技を得たけど、申し訳ないと思っています。

 

 

最後に三島の景色で酷い食いしんぼうをにごしたいと思う
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「日本初のエスカレーターゆうロード三島。可愛がって下さい。駅長」

 

 

町は橋が多くてアトラクションみたい。
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楽寿園
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8月まとめ~ジュン子さんからブルーのブレスレットも頂きました

8月の酒場を振りかえる。

 

 

鹿沼もつや。カリっと焼けたモツと焼きそばも名物。相席※のおじさんが、家に幽霊が出ると話していた。夏だな。鹿沼の私的名物アウカナ仏脇の地蔵たちも夏仕様に
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※もつやはテーブル1つ

  

 

今はなき仙台「ちだや」で紹介受けた「びっくり」。目に入ったゴーヤが食べたいとママに言ってみたらピリ辛炒めにしてくれて、酎ハイと合う
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大井町にタイ料理をチョイ食べできる貴重な店を見つけた。焼き鳥「鳥たか」

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蒲田「勘蔵」から豚足食べたい衝動で、一軒め酒場へ。手軽
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「東屋慶名」飲み会。3人で6品注文のうち3品を自分の好物チャンプルーにしてくれた友人に感謝

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鶴見「豊嶋屋酒店」を始点として角打ちを巡ろうとしたら、〝この先はゾンビ〟と忠告される。夏だ
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新橋「こひなた」の卵焼きは巻かないタイプ
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こひなた向かいの店で持参の瓜ぬか漬けを食べていると、どこかの女社長が突然入ってきて、ひまわりの花をくれた
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壱番館でいつも頂くサービスフルーツとハイボールの組み合わせが大好きだし冬瓜の煮物が京風の揚げと海老入りで250円って
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茅場町ドラム缶に珍しい酒があり、太田酒造のそれは明日行く滋賀県のもので気分盛り上がる。写真はお客さんからの佃煮で、コロッケも貰った。土産シーズン
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滋賀「岡村本家」直営の居酒屋。冬以来2度目に来たが、店の方が自分の髪型やら何やら前と違うね、って覚えていてくれてありがとう
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京都の大宮「庶民」。女性に話しかけ禁止と貼り紙あったけど。地元の話が聞けてよかった
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神田イチゴーの200円げそ唐揚げを食べながら、〝寿司はげそを10皿注文する〟というひよこのジュン子さんを思い出していた
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静岡ひよこ。ジュン子さんから卵焼き貰った

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最近各地で卵焼きを食べている。ひよこが実家の味にいちばん近い。

 

 

 

蕎麦に思う

ふだんはパンとうどんを主に食べ歩いている。
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インスタ映えしない写真


パンに関するサイトで、新麦の到来が告げられていた。国産新小麦のパン屋紹介ページ。わくわくと見ていたら、中にラーメン屋が載っていた。
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新麦のつけめんとは。すぐに食べに行った。

美味しい。ミネラルの瑞々しさ、

新蕎麦を彷彿した。

 

 

数日後のこと、町でうどん屋を探していたら知らないうどんと蕎麦のチェーン店を見た。

口コミを確認すると、蕎麦がとても美味しいらしい。蕎麦にしてみた。
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カクカク、シャッキリ、香りが鼻から抜けたあとに甘味がやってくる。290円でこんな!

 

 

それで蕎麦に興味持ち、何店か食べ比べてみたが、いまいちピンと来ない。
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蕎麦屋を巡って気付いたことは、紅生姜天が人気

 

美味しい蕎麦と蕎麦ぽいつけめんに、導いてくれたパンとうどん。パンとうどんと蕎麦の出会いを今喜んでいる。
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ごはんも好きです。

 

ある伝統工芸士の話

東京の百貨店に、全国の伝統工芸品と職人がやってくる催事があった。そこで話した工芸士が印象的だったので、ここに留めておきたい。

 

会場は閉店時間前のため客が少なかった。そうでなくとも工芸品、調度品や高級織物を扱う催事が賑わうのは、ちょっと裕福な夫婦がブラブラ歩く休日の昼間だろう。平日夜に銀座でやっていたハワイ展なんかは、遅くまで女子で賑わっていたが
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(工芸展の写真がないので実家の父のコレクションを挟むとする)

 

ここは日本橋だ。人まばらな中で、自分のような若輩者は、浮いていた。客として見られていない気がした。実質自分は買える立場ではなく、工芸士という芸能人を見に行っていた。

 

たまに相手にしてくれる販売員もいた。陽気な口調で「出会いを大切に~」と誘い、勧める試し寝のベッドが60万円

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まあ座ってみてヨ!と導入は椅子から

 

差し出す商品のちらしを「なくさないように直ぐしまって!」と言う目が鋭く、別れ際に「出会いを大切に~」とまた呪文のように唱えられた。(寝心地は最高でした)

 

 

 

冒頭の工芸士はというと、いかにも職人の雰囲気を出していた。堅い表情。年配の木工職人で、ミノで彫る実演の机回りに、作品が並ぶ。誰もが圧倒するであろう見事な細工の獅子や仏像などの品々には、数十万円の札が付いていた 
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若輩者が容易く近づいてはならない、と自分はその展示区画が視界に入るところのベンチに座り、眺めることに

 

すると10才に満たないくらいの少年がやって来て彫刻作品を見始めたが、それらは容易に手が届く所にある。士は子供を目の前にしても何も語らない。子供VS.高級品VS. 堅物な士の光景に、自分は勝手にハラハラした。

 

しばらくすると少年の父が現れた。場は和やかに、自分の緊張は解かれた。そして親子らしい会話が聞こえてくる。

「ねずみ(置物)がいっぱいいるね」

「カエルもいるね」

 

それまで黙っていた工芸士が口を開く。

〝ねずみがどれも小さく作られているのは、大きいとコワイから。だけど干支の生き物だから需要はある。カエルも縁起物だから人気ある〟等々。なるほどな話の数々に自分は辛抱できず、ベンチを立ち歩み寄った。一緒に話を聞かせてもらう
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 なお工芸士の話は発したままでなく、自分の記憶の覚書きだ

 

〝白い部分は外、茶色い部分は丸太の内側。全て1つの木材から彫り上げる。色と木目を活かす〟

〝ほおずきはわざと荒く彫っていて、外国人に人気〟

 

一人でいては聞けなかった話がぼろぼろと語られる。メモを取れないことが惜しかった。

そうしているうちに親子は去ったが、この縁を作ってくれたことに感謝したい。

 

その場が工芸士と自分のふたりになった。

うちの父が彫刻など好きでして…等その場をしのぐ話をしたが、子供のような無邪気な質問はできない。士に失礼をおかさないうちにと、引き際を探っていた。

が、何の展開だったのだろう。工芸士の裏話を聞くことになった。

 

〝15年前からこの催事に来てるけど、しばらくの間は人見知りがひどくて全く話せなかったし、話すと訛りが出て気が動転して嫌だった〟

 …憧れの伝統工芸士が弱音とは、急に身近な存在に感じた。工芸士(以下おじさん)も人間だもの。

 

〝実演という見世物になることが嫌だった〟

… 正に自分はこの工芸展を見物に来ていた。どうしようもない、すまない気持ちに。

 

〝工芸に携わる最近の人は大学まで卒業していて羨ましい。勉強しておけばよかった〟

…おじさんは中卒だ。職人とはそういうものと当然に思っていたが、コンプレックスだとは。おじさんはもはや年齢のため諦めたそうだが、「きみは英語やったほうがいいよ」と言う。そんなありきたりの言葉が、この時はグサリときた。

 

〝けど最近の人はけっこうハチャメチャやってるよ〟

…仕事と遊びのメリハリだろうか。

 

〝娘が同業で、節句人形などの『売れるもの』を作っている〟

…おじさんは美術的、娘さんは実用的作風。

昨今、町の展覧会を訪れてみると、美術品が売れないという話が聞こえてくるし、美術館では基金を募っていたりする。業界の切実なところだ

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閉店時間をむかえて帰るが、店で交わされる定番の「お買い上げありがとう」「また来ます」などの挨拶は我々に当てはまらない。自分は買物していないし、この先も当分買えそうにない。客ではないのだ。これまで興味深い話を聞かせてもらったが、別れの言葉を選ぶことが難しかった。

 

 

 

伝統的工芸品というのは、昔からあって、人の手によるもの、というような規定がある。条件を満たし完成された美術的製品。これにおじさんの内情を知ったら、民芸的価値も抱くこととなった。一彫り一彫りに温もりを感じる。がぜん欲しくなるではないか
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こうやって美術工芸品に興味を持つ人が増えて、売れる時代がくるといい

 

 

 

おじさんが作ったものをいつか買いたい。お金貯めないとな。あと英語もやらないとな。