東海道線の車窓から墓地がいくつも見える。特に静岡県辺りの、丘陵と並行して線路が走るところでは、斜面に整然と立つ墓地を見通すことができる。
また、こじんまりした墓地は馬のお墓だろうか。…などと馳せながら電車旅を繰り返していたのだが
平地が続く一帯に小さな山があった。車窓ではすぐに通り過ぎるので、緑色の山か何かが、ぽっかりと存在しているとしか判断できない。しかしこの東海道線の景色から推測すると、お墓が立っていそうだ。
ある時ぽっかりの正体を確かめることにした。付近の目印となったのは愛野駅とコーポ蜜時で、お寺は見当たらない。しかし写真から確認ができ、駅より徒歩20分くらいのようなので行ってみた
これだ。地図は2018年のもの
愛野駅の周りはやはり平地で、〝緑のぽっかり〟はすぐにわかった
道の隣を線路が走り、新幹線を頭上に仰ぐことができる
ぽっかりに近付くと上部に石のようなものが立っている。やはりお墓だろうか
着いた
柵が立っているけれど階段は登れるようだ
この時期は緑ではなかった
登る。階段の側面の土には大きめの石が混ざっている
階段を登り切るとやはり墓地になっていた。景色がいい。遠州の平野を見下ろすお墓たち
皆古そうな墓石だったが、花が供えたてだったり無縁仏は見当たらず、地域の温かさを感じた
これは途中にあった無人販売所
この〝ぽっかり〟こと小さな台地は、開拓された平野の中で、悠久の時を感じることができる場であった。
大塚製薬(POCARI SWEAT)を臨む石仏
それから再び、幾度となく静岡県を往来しているうちに行ってみたいと思う墓地ができて、新富士駅へ降り立った。前回とは違い、車窓から見えすぎて興味を持ったのだ。
茶色い建物の後ろにある。離れているのに圧迫感
手前の幼稚園がひときわ可愛く見えた
住宅街を登り行く。途中の個人宅でキムチを販売していて気になった
到着。等覚寺というのだな
掲示板には寺フェス、寺コンのお知らせが。ひらけたお寺のようだ
日蓮上人にお辞儀をして霊園を登らせてもらう
階段に継ぐ階段だった。まるであみだくじを登る心地
Wikipediaによるとあみだくじは、〝室町時代、真ん中から外に向かって放射線状に人数分の線を書いて、それを引いたものだった。これが阿弥陀如来の後光に似ていたことから『あみだ』くじと呼ばれるようになった〟。
ちなみに由比の吉岡魚店で、ひょんなことから店の奥を見せてもらったのだが、傾斜が凄かった。静岡の丘陵の暮らしを目の当たりにした
店のお母さんにいわし天をご馳走になって、美味しかったです
等覚寺霊園はいつも電車から眺めて迫力があると思っていたけれど、間近で見るとより一層で、要塞のようだった
あみだの先、頂上にあったのは小さなお堂。脇にペット供養の碑があった
これは日蓮上人近くのほうにあった犬猫供養碑
天気によりこの日はうっすらだったが、頂上からは富士山と駿河湾が臨める
途中に梅園が見えた。春先はもっと景色を楽しむことができるらしい
自分と同じく、車窓から興味を持ち散歩した、という方の動画を見つけた
等覚寺はひらけたお寺なので今後、我々のような者のために「大阪七墓巡り」みたいな企画が催されるかもしれない(既に寺コンがそうなのか?)
可愛いキウイ石(駅前より)
等覚寺様、ご先祖様方、ありがとうございました。