いつからだろうか、人形のある町を旅先に選ぶようになっていた。人形は難しい知識がなくても単純に見て楽しめるし、人形の町で出会うコト、モノは、人クサさが強い気がする。
人形の最盛期、ひな祭りイベントを実施する町へ行ってみた
ここは東京 浅草橋
イベントの前に都内の人形店へ予習しに行った。人形メーカーが並ぶ町、浅草橋の「顔がいのちの吉徳」には小さな博物館が併設されている
これ命かんじる
まずは1階から3階までの節句人形売場を見た。京頭は古風でおっとり、江戸頭は切れ目の写実的なお顔だそうだ。作家では大橋弌峰という方の人形が青色が効いていて素敵だった
有職京人形司 大橋弌峰 | 京都で有職装束を基づき伝統的手法で優雅で格調高い雛人形は大橋弌峰
俳句の一般応募作品が飾られていて、同世代の句が切なかった。
~見習はむ 雛の絶えざる ほほゑみを(三三歳 家庭教師)
~ひな祭 輝いていた 何もかも(三七歳 派遣社員)
http://www.yoshitoku.co.jp/user_data/a_award2017.php
4階が「これくしょん」という展示室で、当日は「おひなさま展」が開催されていた。観覧は無料
紙雛と画集のようなものの1ページ
江戸時代初期の雛人形は紙雛・神雛・立雛などと呼ばれ、立て掛けて飾ったらしい。素朴でいいな
片や情熱的な人形もよかった
吉徳で人形の予習をさせてもらい、いざ鴻巣へ向かった。鴻巣は雛人形を伝統産業とし、毎年「びっくりひな祭り」を開催。ピラミッド状の雛段が町の各会場に置かれるらしい。
鴻巣駅
駅の飾りは電車と人形好きにはたまらないコラボである
びっくりひな巡りをスタートする。
一軒目、エルミこうのす
日本一高い雛段
エルミ会場のピラミッドは31段7メートルあり、日本一の高さとのことだ。野鳥の会みたいなカウンターで人形を数えているスタッフがいたけれど、上から下までそうとう大変だと思う。
飾ってから数えるとは。カチカチのスピードがはんぱなかった
会場によっては階段の下にもいて辛いことだろう
たしか人形は全会場で2千体くらい、と聞こえてきた
うどんの背景にも
鴻巣びっくりひな祭りは、文化・商業施設6会場に大規模に飾られ、シャトルバスなどで巡るようになっている。
バスを待つ間にスタッフ数人とおしゃべりしていて、吹上の橋めぐりをしたいと伝えたら、吹上は桜の時期に行くと良いなど教わった。しかし一人のおじさんが“これ以上話さないで!”と話を止めた
おじさんはバスガイドで、ガイドのネタバレを拒んだ
“吹上の桜に来るなら友達4~5人呼べない?”と言われた。4〜5人で町案内を予約すると、またおじさんに会える(ガイドをしてくれる)そうだ
バスがかっこいい
バスで次に向かった会場はパンジーハウス。鴻巣は「人形と花のまち」 と大きく2つを謳っている
ハウスの中にピラミッド
菊人形タイプですよ
ハウスだからあったかい
先のうどん屋はパンジーハウスの併設で、麺が地粉「農林61号」で作られているのだが、鴻巣は人形と花とうどんの町でもあった。なお他にも名物に、川の幅と、花火と…たくさんある
「1つの世界一と8つの日本一に出会えるまち」。タウン誌が賑やか
ひな巡りは6会場あるが、自分の時間の都合で次の「ひなの里」を最後の場とした
ひなの里は雛人形の他にも色々見ることができる、人形の観光施設
観光協会が管理しており解説が細やかだった
ここにも日本一の文字が
先の階段の写真はこちらの会場だ。明治期の蔵に、足元から天井まで飾り付けられている
たくさんの人形を見たが、特に目をひいたのが紙人形であった。ピラミッドを見に来たものの
貴重な鴻巣びなと姉さま人形。何か安らぐ
そういえば趣味の石仏も薄肉彫りが好きだ
こちらは鴻巣の勝願寺より。大河ドラマ真田丸の小松姫の墓があった(吉田羊のやつ)
今回はピラミッドのインパクトと素朴な紙雛の2つを楽しんだ。
鴻巣のひな祭りは、メイン会場であるエルミこうのすが駅直結のショッピングモールのため、家族が買い物の際に見ることができたり、お年寄りグループがシャトルバスを利用してツアー感覚を味わっているように見えた。雨が降っても大丈夫なこともポイントであった。
ゲームコーナーのおひなさま。きっと女子中高生を見守っている